マニラに行くと決まったら、治安は大丈夫なのか気になりますよね。
特に子供を連れていくとなったら、心配はつきもの。
マニラの治安は残念ながら、日本と比べると決して良いとは言えません。
でも最低限気を付けていれば、子供と一緒でも問題なく安全に過ごせるので、安心して下さいね。
これまで子供と一緒に頻繁にマニラ滞在してきた経験から、子供に関する治安対策に焦点をあてて徹底解説していきます。
元海外旅行業界勤務・フィリピン留学コンサルタントの私が、母親目線でマニラの治安について熱く語ります。
マニラの治安は大丈夫？
マニラの治安は悪いという印象が強い人も多いかも知れませんが、実は他のアジアの国と比べても、特別すごく悪いという訳ではありません。
外務省が出している海外安全ホームページの情報によると、フィリピンの一部地域（ミンダナオ島の西部等）を除き、マニラ首都圏に関しては、
十分注意してください。
という警戒レベル１に設定されています。
東南アジア諸国で言うと、カンボジア・ラオス・マレーシアの一部地域・インドネシアなどが同じ「レベル１」になっています。
マニラには日本から語学留学で来ている学生や親子も多いですし、現地でビジネスをしていたり、駐在員として派遣されている会社員やそのご家族も多く住んでいて、
日本人の方も問題なく生活できているのが現状です。
しかし日本はとても平和な国なので、日本と全く同じような感覚でいると、何かしらの被害に遭ってしまう可能性もあります。
せっかくマニラに行くのであれば、事前に起こりえるリスクをしっかり把握して、安全対策をしながら楽しみたいですよね。
マニラでよくある犯罪事例は？
安全対策をしっかりしておくためにも、実際にマニラで起こっている犯罪事例を知っておきましょう。
マニラではスリ・置き引きが多い
マニラで一番外国人が被害に遭いやすいのは、スリや置き引きといった軽犯罪です。
現金やパスポートを始め、最近ではスマホなどのガジェット類も格好の標的になっています。
盗まれたスマホを探しに行ったら、闇市場で売られていた…というケースもちらほら耳にします。
実は私もマニラではありませんが、フィリピン第二の都市のセブに住んでいた際に、スマホと財布を紛失しています。
フィリピンでスマホを紛失した体験
スマホを紛失した際は、安めの宿（1泊あたり2,000円ほど）から出て、目の前の通りでタクシーを呼んでいた時、タクシーに乗り込んだら、気が付いたらスマホが無かったというケースでした。
急いでタクシーを拾っていたので、もしかしたらうっかり落としてしまったのかも知れませんが、その通りは比較的人が多く、混沌としているローカルエリアだったので、
全く気が付かないうちにスリの常習犯にやられてしまった可能性は十分あります。
フィリピンで財布を紛失した体験
一方で、セブで財布を紛失した際は、セブの中でも一番大きなショッピングモールの「SM City Cebu」の中に入っている、世界的にも有名なブランドショップでサンダルの試着をしていた時でした。
財布とは言え、私は海外ではポーチのような簡易財布を使用しているので、財布自体に価値があったわけではありませんが、
きっと私がクレジットカードや現金を出し入れしている姿を見られていて、気が付かないうちに抜かれてしまったのだと思います。
気が付いた時には、さすがにクレジットカードが入っていたので焦り、SM Cityの館内のカスタマーセンターに行って助けを求めましたが、CCTV（監視カメラ）が故障して回っていなかったなどと言われ、泣き寝入りした経験があります。
子供を連れていると親も無防備になりやすい
セブでの私自身の体験は、まだ子供が生まれる前の20代後半だったのですが、子供を連れていると荷物も多くなりますし
動きまわる子供から目が離せない分、荷物などから目が離れがちになりますよね。
オムツや着替え、おやつなど、最悪紛失しても問題ないものは大きめなママバッグの中に詰めて、本当に大事な金目の物に関しては、肌身離さずの状態を常に作っておくのがおススメです。
最近は次男がまだ幼いので、ウェットポーチ型のヒップシート（座れる抱っこ紐）を常に装着していて、その中に貴重品を入れて持ち歩くようにしています。
2歳と6歳の子供を連れているので、傍から見たらかなり無防備な状態だとは思いますが、最近は一度もスリや置き引きのような被害に遭っていません。
フィリピン人は子連れに優しいからなのかな…？とも思ってしまいます。
でも油断は禁物ですね。
銃器犯罪もある
マニラで起きている犯罪としては、先述した通りスリや置き引きが大きな割合を占めているのですが、フィリピンでは銃の所持も認められているので、稀に銃器犯罪も起きているのが現実です。
実際に外国人や日本人の方が被害に遭われているケースもあります。
しかしこれは私の経験上、これまで聞いてきた話によると、現地のフィリピン人との関係性が濃厚な人が被害に遭われていると思います。
フィリピン人は大らかで優しい性格の人が多いですが、プライドはとても高い人が多いので、侮辱されたり、傷つけられたりした際に行動に移してしまうということが多いです。
例えば、フィリピンでビジネスをしていて、従業員であるフィリピン人が不当な扱いをされたと感じて恨みを買ってしまったり、
現地の方と恋愛関係にあったり、家族になったりして、恋愛（嫉妬）や金絡みのトラブルに巻き込まれてしまったりというケースがとても多いです。
お金持ちだと目をつけられて、騙されて親密な関係になり、その結果被害に遭ってしまったというケースもあります。
いずれにしても、この記事を読んでいただいている子連れでマニラに滞在するような方に関しては、あまり縁がない話なので、さほど心配し過ぎる必要もないかなと思います。
性犯罪もある
フィリピンにはKTVやゴーゴーバーなどのナイトスポットもあります。
これも子連れ旅行にはあまり縁が無いかと思いますが、興味本位で近づかないのが得策です。
またフィリピンでの性犯罪も、日本に比べると件数は多いです。
フィリピンに限った話ではないかと思いますが、女性は対象にならないように、肌の露出を控えたり、怪しい場所に近づかない、隙を見せないという基本的な注意をしておきましょう。
残念ながら子供も対象外ではありませんので、怪しい人に近づかれないよう親がしっかり守ってあげましょう。
フィリピンの人はフレンドリーで気さくな人が多く、とても優しい人が多いのですが、裏があるかも知れませんので、簡単に人を信用し過ぎないことも大切です。
ストリートチルドレンにも注意
マニラには路上で生活しながら収入を得ているようなストリートチルドレンがいます。
マニラ空港のターミナル４（国内線）周辺のローカルエリアや、マカティの北東部、サルセド・ベルエアー・ブルゴス通りなど、
外国人の出入りが多いエリアでは、信号待ちをしている際に、車の窓から覗き込んでお金を要求してくる姿をよく見かけます。
さすがに車のドアを開けてきたという事例は見たことがないのですが、念のためマニラで車に乗る際は必ずカギをロックしておきましょう。
運転手に「窓とドアを全ロックして」と毎回お願いするようにしています。
路上を歩いている際も、ストリートチルドレンに直接手を差し出されたり、尾行されたりということもありますので、
特に子連れの場合は万が一の際も身動きが取りづらいため、予めそういったエリアへは出歩かないようにしましょう。
彼らはスリの常習犯でもあるので、スリのスキルも高いので要注意です。
事前にできるマニラでの治安対策
子連れの場合は、大事な子供に危ない経験をさせないために、事前にできることは何でもしておきたいですよね。
これまでお話してきたことは、いわゆる「最悪のケース」なので、事前にそんな事態に陥らないように、万全の体制でマニラに乗り込みましょう。
親が事前にできる安全対策をお伝えします。
安全なエリアのホテルに滞在する
マニラには様々なエリアがあります。
子連れの場合はリスクを最大限軽減するため、日本人や外国人が多く住んでいて、安心して生活できるレベルのエリアにホテルを取ることを強くおすすめします。
私がよく滞在しているエリアはこの３つ↓
ボニファシオグローバルシティ（BGC）やマカティは日本人の駐在員も多く派遣されているエリアですし
特にBGCは在フィリピン日本人学校もあり、とても治安のよいエリアなので、
初めてマニラに子連れで行くという方は、まずこのエリアをおススメします。
マカティエリアも広いので一概には言えませんが、先述したマカティ北東部の、サルセド・ベルエアー・ブルゴス通りなどよりは
より空港に近い南西の方の「グリーンベルト」「グロリエッタ」「SM」「アヤラモール」近辺のホテルの方がおすすめです。
ショッピングモールも多く、道路も整備されていて広く、ベビーカー移動も完全にこちらの方がしやすいです。
確かに青く囲ったエリアの方が、価格帯も安いホテルが多いのですが、子連れという観点で言うと、私のおすすめはやっぱり赤いエリアかな…
もしマカティで青いエリアに滞在する場合は、基本的にホテルロビーからはGrab（タクシー）移動にすると良いと思います。
現金や高価なものを持ち歩かない
そもそもスリの対象にならないように、多額の現金や高価なものは持ち歩かないようにしましょう。
貴重品が最低限であれば、それだけ子供の方に目を配れる気持ちの余裕が生まれます。
ほとんどの子連れ向けのホテルには、客室内にセキュリティボックスがありますので、パスポートや現金は中にしまっておきましょう。
安宿でない限り、セキュリティボックスも棚に固定されていますし、こじ開けられることはありません。
外出中に何をするかにもよりますが、私はこれまで観光をする上ではパスポート原本が必要だったことはありませんでした。
IDの提示を求められることもありますが、予めパスポートの顔写真のページを全員分撮影してデータで持っていれば、特に問題ないと思います。
タクシーよりもGrabを優先して使う
マニラの流しのタクシーや、空港で待っているメータータクシー以外のタクシーは、ぼったくりをしてくる可能性もあります。
そもそもメーターを使わなかったり、一見メーターを使っているようでも、実は改造されていて、ハイスピードでメーターが進んでしまうということも。
Grabはドライバー情報が会社で管理されていますし、後からクレームを入れることもできるので、真面目なドライバーが多く誠実に対応してくれます。
最近はタクシーを使用するよりも、Grabを使った方がよっぽど安心感があります。
車種を選択することもできますので、ベビーカーがあったり、荷物がかさばる際、移動が長距離になりそうなときは、予め広めの車両をオーダーするようにすると快適に過ごせます。
夜間に出歩かない
基本的に外国人の夜間の一人歩きはしないようにしましょう。
子供が一緒にいる場合は特にですね。
活動する時間が遅い時間にならないように、滞在中は早寝早起きのスケジュールを組んであげると良いですね。
もし夕食を外のレストランで食べていて、帰りが遅くなった場合は、外で流しのタクシーを拾うのではなく、お店から直接滞在先に戻れるように、Grabを手配できるようにしておきましょう。
万が一に備え、緊急連絡先を控えておく
万が一、自分や子供が危険な目に遭ってしまった時を想定して、予め緊急連絡先を控えておくと安心です。
| 警察・救急・消防 | 911 |
|---|---|
| マニラの警察 | 117 |
| 在フィリピン日本国大使館 | （02）551-5710 |
| 邦人援護ホットライン | （63-2） 8551-5786 |
困った際は近くにいるフィリピン人に助けを求めたり、自分で通報したりして、判断を仰げるように控えておきましょう。
もしパスポートも紛失してしまったという場合は、日本国大使館に問い合わせをします。
電話受付や窓口は平日の17:15までとなりますが、
邦人援護ホットラインは24時間対応してくれるので、いざという時に頼りになります。
スマホの充電やWi-Fiを切らさない
危険な目に遭ってしまった時に、すぐに対応ができるように、スマホの充電を切らさないようにしておきましょう。
海外でも使えるプランを契約して行ったり、マニラについてからSIMカードを入れ替えるのがおすすめです。
短期間であれば、日本からポケットWi-Fiを持ち歩くのも便利です。
ショッピングモールやコーヒーショップではフリーのWi-Fiが使えることもありますが、天気が悪い日や、混雑している時は非常に弱いことが多いです。
またフィリピンのフリーWi-Fiは、利用する際にログインが求められるのですが、現地の番号がないと認証されないことが多いです。
いざという時に何かしらの通信手段が確保できた方が安心なので、いつでも通じる状態を用意しておきましょう。
マニラで子供と一緒の時に気を付けたいこと！
マニラに子連れ滞在をする際に、特に気を付けたいことを解説していきます。
治安の心配があるエリアには連れて行かない
子連れでマニラに滞在するのであれば、ホテルなどの滞在先を安全な場所に確保することに加え、治安の心配があるエリアには、そもそも入らないという配慮が必要です。
ローカルすぎる市場や、道が入り組んでいる現地の方の生活エリアなど、人が多く混沌としているエリアでは、被害にも遭いやすくなりますし、何かあった時に気が付きにくいです。
マニラ市内の有名なエリアでは「マラテ・エルミタ地区」「トンド地区」などは、治安があまり良くないとされていますので、子連れの際は近づかないようにしましょう。
外国人に人気の観光地も近くにあるのですが、貧しい家庭が多かったり、歓楽街も多いので、衛生面でも安心できるエリアではありません。
現地の生活を観察するのも旅の醍醐味ではありますが、子連れの場合は興味本位で近づくのは辞めておきましょう。
子供と必ず一緒に行動する
フィリピンでは残念ながら、誘拐の犯罪も起こっています。
高所得層に人気なショッピングモールでも、実際に子供の誘拐事件も起きています。
日本でも決して安心はできませんが、海外では特に気を付けたいですね。
必ず子供と一緒に行動するようにし、お手洗いに行く際なども、できる限り親と一緒に行くようにしましょう。
男の子の場合は、パパか信頼できる男性に頼めると良いですね。
子供から目を離さない
子供が遊べるプレイグラウンドや、おもちゃ屋さんでも、常に子供から目を離さないように気を付けています。
今まで特に何も起きていませんが、何かが起きてからでは遅いので、日本以上に目を光らせておく必要がありますね。
現地の人とやり合わない
何か良からぬことに巻き込まれそうになった時、被害に遭いそうになった時、コミュニケーションが取れたり、旅慣れてきたりすると、強気に出てトラブル回避したくなるものですが、
先述した通り、フィリピンは銃の所持が許可されている国。
もちろん常に誰もが所持しているという訳でもありませんし、銃声を聞いたこともありません。
しかし犯罪に関わるような人の中には、自分の身を守るために、銃を所持していたり、脅したりするように悪用している場合もあります。
危険だなと少しでも感じたら、要求されたものをすぐに手渡したり、歯向かわないようにしましょう。
被害に遭うのはもちろん嫌だけれど、大事なのは自分や子供の命です。
子連れの場合は特に慎重に、冷静にスッとその場から退散することを第一優先にしましょう。
海外旅行保険に加入させておく
万が一に備えて、子供は必ず海外旅行保険に加入させるようにしましょう。
事件事故に遭遇してしまった場合の他にも、慣れない環境で体調を壊したり、大事なものを紛失した時にも助かります。
保険に加入していると、現地警察・消防、日本国大使館の他に、頼れる窓口が増えるので、その点からも必ず加入させておきたいです。
保険加入のしおりを撮影したり、証券のデータをダウンロードしておくなど、いつでも困った際に取り出せるようにしておくと安心です。
マニラの治安まとめ
マニラの治安について、特に子供と一緒に滞在する場合に気を付けたいことに焦点を当てて、詳しくご紹介しました。
私がこれまで15年以上フィリピンに関わってきて、6年以上子連れでマニラ滞在をしてきた上での、経験則に基づく話も含まれているので、
他のメディアで言われていることと多少異なる点もあるかも知れませんし、怖いことばかりお伝えしてしまったかもしれませんが、
実際には普通に生活していれば、ほとんど被害に遭わない方が多いので、安心してくださいね。
起こりえるリスクを事前に知っているだけでも、旅行に行った際にできる安全対策レベルが変わってきます。
備えあれば患いなしなので、子連れの場合は慎重に対策をしつつ、せっかくのマニラ滞在を楽しんでいきましょうね！
